徳島県水防・砂防情報マップについて

自然災害リスクを知る

 恐ろしい土砂災害や洪水浸水災害を防止するために、現在様々な対策が行われていますが、それだけでは十分に災害を防ぐことはできません。被害を最小限に抑えるためには、日頃の備えと、一人ひとりが気象情報等に注意して早めに避難することが大切です。

【どこが危険なのかを知っておく】
自宅や勤務地周辺の危険箇所を把握し、非常時には迅速に行動できるようにしておきましょう。
【どこに、どのように避難するかを決めておく】
非常時の避難場所を家族で確認し、そこまでの経路もしっかりチェックしておきましょう。
災害が起きるとき、家族全員が一緒にいるとは限りません。そんな時もあらかじめ避難場所・避難経路を決めておけば安心です。
【危険を感じたら早めに避難する】
風雨の状況、自分や一緒に逃げる人の体力、避難時間などを考え、自ら避難するタイミングを判断することが重要です。
自宅周辺の土地の状況にも気を付けて、早めの避難に心がけてください。停電や道路の不通なども予測されますので、十分に注意してください。

土砂災害危険箇所とは

土石流危険渓流

 谷や斜面に貯まった土・砂・石等が、梅雨や台風などの集中豪雨による水と一緒になって、一気に流れ出してくるのが『土石流』です。破壊力が大きく速度も速いので、大きな被害をもたらします。このような被害のもたらすおそれのある渓流を、『土石流危険渓流』と呼びます。
 土石流危険渓流調査では、土石流発生のおそれが高いとされている3度以上の渓床勾配を有する渓流のうち、土石流により人家や公共施設に被害を及ぼすおそれがあるものを抽出しています。

急傾斜地崩壊危険箇所

 地面にしみこんだ水分が土の抵抗力を弱めることにより、斜面が突然崩れ落ちるのが『がけ崩れ』です。突発的に起こり瞬時に崩れ落ちるため、事前の避難が困難です。また、地震をきっかけに起こることもあります。このような被害が生じるおそれのある箇所を『急傾斜地崩壊危険箇所』と呼びます。
 急傾斜地崩壊危険箇所調査では、傾斜度30度以上でその高さが5m以上の急傾斜地のうち、がけ崩れにより人家や公共施設等に被害を及ぼすおそれがある箇所を抽出しています。

地すべり危険箇所

 比較的緩やかな斜面において、地中の粘土層など滑りやすい面が地下水の影響などでゆっくりと動き出す現象を『地すべり』といいます。一度に広い範囲が動くため、ひとたび発生すると住宅、道路、鉄道、耕地などに大きな被害を及ぼし、川をせき止めて洪水等を引き起こすことがあります。このような被害が生じるおそれのある箇所を、『地すべり危険箇所』と呼びます。
 地すべり危険箇所調査では、地形図や空中写真の判読により、地すべり地形を呈する地域の面積が5ha(市街化区域等にあっては2ha)以上で、人家や公共施設等に被害を及ぼすおそれがある箇所を抽出しています。

土砂災害(特別)警戒区域とは

 土砂災害の種類に応じて基礎調査(土砂災害により被害のおそれがある区域の地形、地質、土地利用状況などについて調査)を実施し、土砂災害による被害のおそれがある箇所・著しい被害のおそれが明らかとなった箇所は、市町村長の意見を聴いたのち、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域として指定されます。

土石流

 山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象
・土石流の発生のおそれのある渓流において、扇頂部から下流で勾配が2度以上の区域

急傾斜地の崩壊

 傾斜度が30度以上ある土地が崩壊する自然現象
・傾斜度が30度以上で高さが5m以上の区域
・急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域
・急傾斜地の下端から急傾斜地の高さの2倍(50mを超える場合は50m)以内の区域

地すべり

 土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象又はこれに伴って移動する自然現象
・地すべり区域(地すべりしている区域または地すべりするおそれのある区域)
・地すべり区域下端から、地すべり地塊の長さに相当する距離(250mを超える場合は250m)の範囲内の区域

※土砂災害が発生した場合に、建築物に損壊が生じ、住民等の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域で、特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制等が行われます。土砂災害特別警戒区域は、土砂災害により建築物に作用する力(外力)[注1]が、建築物の耐力(建築物が崩壊を生じることなく耐えることのできる力)を上回る区域が指定されます。

[注1]ただし、地すべりについては、地すべりに伴って生じた土石等による力が建築物に作用した時から30分間が経過した時に建築物へ作用する力の大きさとし、地すべり区域の下端から最大で60m範囲内の区域

土砂災害警戒区域に指定された場合

 土砂災害警戒区域は、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域であり、危険の周知、警戒避難体制の整備が行われます。

市町村の地域防災計画への記載

 土砂災害が生じるおそれのある区域において土砂災害に関する情報の収集・伝達、予警報の発令及び伝達、避難、救助等の警戒避難体制を確立しておくことが大切です。このため、土砂災害に関する警戒避難体制について、市町村が策定する市町村地域防災計画において、警戒区域にごとに警戒避難体制に関する事項を定めることとされています。

要配慮者利用施設等のための警戒避難体制

 高齢者、障がい者、乳幼児等、自力避難が困難なため土砂災害の犠牲者となりやすい要配慮者の利用する施設が警戒区域内にある場合には、市町村地域防砂計画において要配慮者の円滑な警戒避難を実施するため、土砂災害に関する情報等の伝達方法を定めることとされています。

土砂災害ハザードマップによる周知の徹底

 市町村長は地域防災計画に基づいて区域ごとの特色を踏まえた土砂災害に関する情報伝達、土砂災害のおそれがある場合の避難地に必要な情報を住民に周知させるため、これらの事項を記載した印刷物(ハザードマップ等)を配布し、その他必要な措置を講じることとなっています。

要配慮者利用施設の避難体制の強化(平成29年6月改正での追加事項)

 要配慮者利用施設が土砂災害警戒区域内にあり、市町村地域防災計画に名称及び所在地が定められている場合、その所有者又は管理者には、避難確保計画の作成や避難訓練の実施が義務づけられます。

【避難確保計画の作成】
 利用者の円滑かつ迅速な避難確保を図るため、①防災体制、②避難誘導、③施設の整備、④防災教育及び訓練の実施、⑤その他の必要な措置、について定めた「避難確保計画」を作成し、市町村長に報告する必要があります。

【避難訓練の実施】
 作成した避難確保計画に基づいて避難訓練を実施します。ハザードマップ等の活用の他、危険な区域から離れる方向に速やかに避難するなど、施設が立地している土砂災害警戒区域の実情に応じた避難訓練を実施することが重要です。

宅地建物取引における措置

 宅地建物取引業者は、当該宅地又は建物の売買等にあたり、警戒区域内である旨について重要事項の説明を行うことが義務付けられています。

土砂災害特別警戒区域に指定された場合

 急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物の損壊により住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域で、特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制等が行われます。

特定開発行為に対する許可制

 住宅地分譲や社会福祉施設、学校及び医療施設といった要配慮者利用施設の建築のための開発行為について、特別警戒区域で示す自然現象(急傾斜地の崩壊、土石流、地すべり)に応じた、土砂災害を防止するための対策工事が必要です。この対策工事が、安全を確保するために必要な技術基準に従っているものと都道府県知事が判断した場合に限って許可されることになります。

建築物の構造の規制

 住民などの生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがある建築物の損壊を防ぐために、急傾斜地の崩壊などにともなう土石等が建築物に及ぼす力に対して、建築物の構造が安全なものとする必要があるため、建築物の建築等に着手する前に、建築物の構造が基準を満たすものとなっているかの確認申請書を提出し、建築確認を受ける必要があります。

建築物の移転などの勧告及び支援措置

 急傾斜地の崩壊などが発生した場合にその居住者など生命や身体に著しい危害が生ずるおそれがある建築物の所有者、管理者または占有者に対し、特別警戒区域から安全な区域に移転するなどの土砂災害の防止・軽減のための措置について、都道府県知事が勧告できることになっています。
 特別警戒区域内の施設設備にかかる防災工事や区域外への移転等に対し、独立行政法人住宅金融支援機構の融資や住宅・建築物安全ストック形成事業による補助(社会資本整備総合交付金)のような支援措置があります。

宅地建物取引における措置

 宅地建物取引業者は、特別の開発行為において、都道府県知事の許可を受け取った後でなければ、当該宅地の広告、売買契約の締結が行えず、当該宅地又は建物の売買等にあたり、特定の開発の許可について重要事項説明を行うことが義務付けられています。

土砂災害対策 ハード対策

 ハード対策に関する法律である、「砂防法」、「地すべり等防止法」、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」は、総称として「砂防三法」と呼んでいます。徳島県では、県民の生命や財産を守るため、これらの法律に基づき、土石流・地すべり・がけ崩れ対策などの土砂災害防止施設の整備を着実に進めることとし、危険度や緊急性の高い箇所から重点的に対策を実施しています。

砂防指定地

 砂防指定地とは、「砂防法」に基づき、土石流や土砂崩れなどによる土砂災害を未然に防ぐための砂防設備を要する土地、または、治水上砂防のために一定の行為を禁止・制限すべき土地として、国土交通大臣が指定する区域です。
 この区域においては、以下の行為が制限されます。
・工作物の新築・改築等
・土地の掘削、盛土、切土、土石の採取
・土石、木、その他の有体物の集積又は冬期
・立木竹の伐採

地すべり防止区域

 地すべり防止区域とは、「地すべり等防止法」に基づき、地すべりによる崩壊を防止するため、必要な施設(排水施設、擁壁等)を設置するとともに、一定の行為を制限する必要がある土地について主務大臣が指定する区域です。
この区域においては、以下の行為が制限されます。
・地下水を誘発、又は停滞させる行為で地下水を増加させる行為
・地下水の排除を阻害する行為
・地下水の放流、又は停滞させ地表水の浸透を助長する行為
・のり切、切土
・工作物の新築、改築

急傾斜地崩壊危険区域

 急傾斜地崩壊危険区域とは、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」に基づき、崩壊するおそれのある急傾斜地(傾斜度が30度以上の土地)で、その崩壊により一定規模以上の人家、官公署、学校、病院、旅館等に危害が生じるおそれのある土地、及び、これに隣接する土地のうち、一定の行為を制限する必要がある土地について、都道府県知事が指定します。
この区域においては、以下の行為が制限されます。
・水の放流、又は停滞させる行為その他の浸透を助長する行為
・のり切、切土、掘削又は盛土
・ため池、用水路等、急傾斜地崩壊防止施設以外の工作物の設置又は改造
・土石の採取又は集積
・立木竹の伐採

砂防指定地等における行為

 砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域に指定された区域内で、一定制限される行為等をしようとするときは、知事の許可が必要です。 所轄する建設部または土木事務所に届け出し、許可を受けて下さい。

土砂災害対策 ソフト対策

 徳島県では、土砂災害警戒区域等の指定、県民のみなさんへの周知、警戒避難を行うための基準の設定、普及啓発活動、危険な区域への新規住宅等の立地抑制等といったソフト対策に取り組んでいます。

土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定

 土砂災害防止法は、土砂災害から国民の生命・身体を守るため、土砂災害のおそれのある区域についての危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策を推進しようとするものです。この法律に基づき、基礎調査(渓流や斜面など土砂災害により被害を受けるおそれのある区域の地形、地質、土地利用状況について調査)を実施し、調査結果に基づき、土砂災害の自然現象(土石流、がけ崩れ、地すべり)の種類に応じた土砂災害警戒区域・特別警戒区域を指定します。

土砂災害情報の提供

 徳島県では土砂災害から避難するために役立つ情報を、徳島県土砂災害情報システム、徳島県水防・砂防情報マップにより提供しています。

普及啓発活動の促進

 住民の的確な避難を促すため、様々な機会を通じて、土砂災害防止に関する普及啓発活動を推進しています。
・土砂災害防止月間パネル展
・土砂災害防止に関する作品コンクール

洪水浸水想定区域とは

 徳島県では洪水時において、円滑かつ迅速な避難を確保し被害の軽減を図るため、水防法(昭和24年法律第193号)第14条第1項の規定に基づき洪水浸水想定区域図を策定しています。
 記録的な豪雨により激甚化している浸水被害への対応を図るため、平成27年に改正された水防法に基づき、想定最大規模降雨を対象とした洪水浸水想定区域図を策定しました。

高潮浸水想定区域とは

 徳島県では高潮時において、円滑かつ迅速な避難を確保し被害の軽減を図るため、水防法(昭和24年法律第193号)第14条の3、第15条の規定に基づき高潮浸水想定区域図を策定しています。
 記録的な高潮により激甚化する浸水被害への対応を図るため、平成27年に改正された水防法に基づき、想定最大規模高潮を対象とした高潮浸水想定区域図を策定しました。